積読(つんどく)日記

本はただ机の上に積んであるだけ・・・の状態で日々過ごしています。新聞や雑誌・映画・テレビなどから、気になったことを書いています。

『介護民俗学へようこそ!』

 86歳の母を2週間に1回一度程度訪ねて話し相手をしている。身体は元気だが、認知症を患っている。数年前から「自分の家の物が無くなった」ということが始まり、怪我したことを覚えていなかったり、同じ話の繰り返しが続くようになった。自分で自分がおかしくなっていることを感じて、「どうしたんかね。頭がおかしゅうなった」と自分の頭をたたいたりしていた。食べたことを忘れていて、「食べんのよ」ということが多くなり、他に話題が無くなり、テレビを見ていても「何を言いいよるんかわからん」というようになった。今のうちに昔の話を聞いておかないとと思っていろいろ聞き出そうとしたが、多くは語らなくなった。

 そんな母を楽しませようと、YouTubeで映画「アナと雪の女王」の主題歌を見せたり、AKB48の「恋するフォーチュンクッキーPerfumeの楽曲を見せている。自分もダンスをしているような気がするのか身体が少し動いたりして、「まぁおもしろい!」と反応がいい。音楽を聴く、目で動きのあるものを見る、それがいい刺激になっているのだろうか。

 耳だけの刺激だとどうなるか、思いついて、昔話を読んでみた。目をつぶって「まぁ!」とか「ふ~ん」「それはどういうものじゃったかいね」とか相槌を打ちながら聴いている。

読み終わった後の感想は、「あ~ええね。読んでもらういうんはええもんじゃね」

昔話に出てくる景色はなじみのある景色だし、出てくる物・道具類も母には言葉で聞いてわかる物たちだ。

こんなことをやっていると、母が少し元気になってきたような、テンションが高くなってきたような気がする。 しかしこの状態もいつまで続くか・・・と感じている。

 『介護民俗学へようこそ!』(六車由実著 新潮社発行)を見つけた。帯に「「聞き書き」の方法が介護の世界を劇的に変えた!」とある。こんな風にお年寄りと関われたら穏やかに死に向かっていけるような気がする。もう少し早く「聞き書き」の方法を知っていたら、母からたくさんの話が聞けていたかもしれない。数年、介護施設へ食事の介助に出かけていたことがあり、いろいろなお年寄りに出会った。この本を読みながら食事のシーンを思い出した。やっぱり話しかけて、「おいしいね」って言いながら食べると皆さん表情が緩む。

 母ともいろいろな反応が鈍くなっても、最後まで「おいしいね」って言えればいいのかな。