女優樹木希林が亡くなった。
連続テレビドラマに出て、郷ひろみと歌を唄っていた頃、身体の動きが軽快でユニークな人だなと思っていた。日常生活はいろいろ大変そうで、ワイドショーをおもしろく見ていた。
客観的に見ていたのに、大きく印象が変わったのは、映画「あん」を見てからだ。
「この人は、マジ、本物、ちょっと違う」
それからいろいろな媒体に登場するたび、注目して見ていた。
そこで語られる言葉や文章、文字、絵、自らデザインされた洋服や作品、記憶にとどめておきたいものばかりだった。
昨日の告別式で述べられた是枝監督の弔辞も、娘の也哉子さんが喪主代理で挨拶で語られた言葉も、樹木希林さんを反映されたような、飾りではない嘘偽りのない言葉に、身内でもないのに泣いてしまった。
「おごらず、人と比べず、面白がって平気で生きればいい」
「死ぬ時ぐらい好きにさせてよ」
樹木希林という小石がぽとっと私の心に落とされて、静かな水の輪が広がる感じ。
社会にも水の輪が広がって、どこか遠くから変化が起こってくるかもしれない。
心からご冥福をお祈りします。