我が家に、子どもが成人してもまだ本棚に残っている絵本がある。
『だるまちゃんととらのこちゃん』加古里子 さく/え 福音館書店
口に出して読むとリズムが良くて、読んでいる私が楽しくて、その時の記憶があるために今まで捨てられなかった。
加古さんは2018年5月逝去。
「これまでの自分は、昭和二十年で死んだのだ。ここから以後は、余生である。余生というからには、先に逝った仲間たちのぶんも生きて、自らの誤りを償わなければならない。それには何ができるのかを、真剣に考え、それを実践し続ける。そのために残りの人生を捧げ尽くそう。僕はそう決めました。」
加古さんは「終戦」ではなく「敗戦」と書いているが、それ以後こう覚悟を決めて、会社勤めをしながら、地域でセツルメント(市民ボランティア)活動も継続、この活動で子どもたちから学んだことを活かしながら絵本作成へとつながっている。
工学博士であり、福祉や児童教育を専門で学んだ人ではない。
加古さんがどんな親に育てられ、どんなふうに育ってきたのか、絵本作家への道程が分かった。
必死で仕事も絵本作りもしてこられていた。
「覚悟」があったから。
今の時代と比べようもないけれど、現在の大人が読んで、子育てのヒントがいろいろあると思った。
私が子育て世代を過ぎて、客観的に子どもたちや子どもを取り巻く環境が見れるようになったから理解できるようになったのかもしれないが。
加古さんの絵本を探しに大手書店に行った。
児童書コーナーが広く、遊べる場所も親子で読み聞かせのできるスペースもある。
たくさんの家族連れがいた。
その中で目的の絵本を探したのだが、結局見つけ出せないまま帰ってきた。
探すという作業がどうも苦手で。
しかしあのたくさんの本の中でどうやって子どもたちは「読んでみたい」という本を見つけているのだろう。
今の子どもたちは情報処理能力を小さい頃からこうやって鍛えられているのだろうか。
なんて脱線して考えてしまった。